こんにちは。シーナと申します。
「日商簿記2級」の受験を目指している私が、復習のために「日商簿記3級」の勉強を始めた時に感じた疑問や勉強したことを纏めていくシリーズです。
第4回目である今回は、第5問の「精算表」と「財務諸表」についてです。
これから簿記を受験するあなたの参考になれば幸いです。
- 第5問の特徴
- 精算表と財務諸表とは
- 日商簿記3級試験の精算表の書式
- 第5問の難易度
- 精算表の解き方(作成)のコツ
- 必ず問題に出題される決算整理事項
- 過去問のすすめ
- おすすめ過去問集の理由
- 出題範囲は再確認しましょう
- 出題傾向の分析について
- その他の注意事項
- 日商簿記3級は独学で取得できるのか?
- 終わりに
- 関連記事です。
第5問の特徴
「精算表」もしくは「財務諸表」が出題されます。
配点は30点。
これは毎回変わりません。
部分点(配点箇所は非公開)がありますので完璧である必要はありませんが、第2問、第4問と違い、どちらかが出題されることは確実です。
また、出題される問題はほぼ決まっています。
合格するには確実に満点を取りたいところです。
精算表と財務諸表とは
「精算表」は、試算表によるチェックが終わった後に、決算に向けて作成する内部確認用の資料です。
企業は最終的に「財務諸表」である「損益計算書」、「貸借対照表」を作成して、外部に公開(税務署に提出)します。
その前に内部用に「損益計算書」、「貸借対照表」の数字を確認するために用いられます。
要は「財務諸表」の下書きです。
精算表のことを英語では Work Sheet と言い、W/S と略します。
ちなみに損益計算書はProfit and Loss Statement(P/L)、
貸借対照表は Balance Sheet(B/S)と略しますが、特に覚える必要はありません。
ポイントは、
精算表は内部用、財務諸表は外部用
という点です。
資料に記載する勘定科目の表記が異なります。
詳細は後述します。
日商簿記3級試験の精算表の書式
試験に出題される精算表は以下のようなものです。数字は適当です。
左から残高試算表、修正記入、損益計算書、貸借対照表という順番に並んでいます。
つまり、精算表でも財務諸表は作成することになります。
資料に記載する勘定科目が微妙に異なる以外は、同じものですので、
精算表が作成できるようになれば、おのずと財務諸表も作成できるようになります。
ただし、修正記入欄に頼りすぎないこと。
これがポイントです。
修正記入欄が無くなった途端に財務諸表が作成できなくなることが無いように意識して勉強しましょう。
第5問の難易度
大体20分ぐらいで解答したいところです。
第5問は出題される問題の種類がほぼ決まってるため、日商簿記3級試験で一番難易度が低いです。
その割に配点が多いというサービス問題です。
最大でも30分ほどで解答できるようになりましょう。
時間配分については、以下の記事で紹介しています。
精算表の解き方(作成)のコツ
答案用紙の下準備
まず問題用紙を読む前に以下のように答案用紙に与えられた精算表に書き込んでしまいます。
書き込んでも採点に影響ありません。減点されたりしません。安心してどうぞ。
資産、負債と純資産、収益、費用の勘定科目を分けるために横線を引きます。
分かりやすくなるという以外のメリットとしては、勘定科目をチェックすることで、(上記には書いていませんが)「現金過不足」や「仮受金」等があれば、ほぼ間違いなく問題文で出てきますから、印をつけておくことで探しやすくなります。
なぜ出題されるかというと外部に公開する損益計算書や貸借対照表には残らないからです。
次に絶対に数字が入らない部分を明確にするため×を書き込みます。
損益計算書に資産、負債、純資産の勘定科目は関係ありません。
同様に貸借対照表に収益、費用の勘定科目も関係ありません。
意外と問題を解いていると迷いやすいですので、おすすめです。
他の問題でも応用が出来ますよ。
繰り返しますが、答案用紙の解答記入が無い部分に×を書いても採点に影響はありません。
私もしっかり記載しましたが満点でした。
問題用紙の下準備
"決算整理事項等"が記載されていますが、よく読むと最初の3個ぐらいは修正仕訳です。
間違いを訂正したり、未処理だった仕訳を行います。
そして残りが決算整理事項になります。
修正仕訳と決算整理事項の2種類があるという点を意識して問題文を見てください。
違いは後述する過去問を解く際に気を付ければすぐに分かります。
修正仕訳の場合、後でまた勘定科目が動く可能性が若干あります。
しかし、決算整理事項では一度出た勘定科目はもう動きません。
この点を意識して精算表を作成すると、時間の無駄を抑えることが出来ます。
配点箇所
修正記入欄には一切配点はありません。
そのため修正記入欄をすべて記入してから損益計算書や貸借対照表欄を作成するのは、効率的ではありません。
ここで先ほどのコツが効いてきます。
問題が決算整理事項に入った段階で、もうその勘定科目はそれ以上動きませんから、即座に損益計算書や貸借対照表欄を完成させてしまいます。
修正仕訳の部分では後でまた動く可能性が0ではないため、後で行います。
また、一番下の貸方、借方の合計値にも配点はありません。
チェックには必要ですが、最悪空欄でも問題ありません。
もちろん記入するに越したことはありません。
貸借一致の確認テクニックについて、以下の記事で紹介しています。
他の配点ポイント
損益計算書と貸借対照表の当期純利益(or 損失)は必ず一致します。
そのため財務諸表の場合は、どちらかにしか配点はありません。
精算表では当期純利益(or 損失)に必ず配点があります。
当期純利益(or 損失)は、収益と費用の差額です。
財務諸表の表示科目
財務諸表は外部向けの資料ですので、外部向けに勘定科目の表記も変更します。
精算表の損益計算書や貸借対照表とは、以下のように変わります。
貸借対照表
前払○○ => 前払費用
未収○○ => 未収収益
繰越商品 => 商品
前受○○ => 前受収益
未払○○ => 未払費用
損益計算書
売上 => 売上高
仕入 => 売上原価
○○減価償却費 => 減価償却費
要するに細かく記載はせず、纏めてしまうということです。
第1問の仕訳問題で勘定科目を勘違いしやすくなりますので注意してください。
第1問については以下の記事で紹介しています。
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必ず問題に出題される決算整理事項
※第152回試験から出題範囲が変わります。そのため必ず出題されるとは限りません。
毎回必ず問題として出題される決算整理事項があります。
これらはサービス問題ですので、必ず解けるようにしましょう。
以下は、必ず出題されます。
- 貸倒引当金の設定
- 売上原価の計算
- 減価償却費の計算
- 収益と費用の繰り延べ(前受、前払)
- 収益と費用の見越し(未収、未払)
なお、消耗品に関する(消耗品費を消耗品に振り替える)処理は試験範囲の改定により現在は出題される可能性は低くなっています。
試験範囲の改定については、後述する記事を参照してください。
貸倒引当金の設定
以下の記事で具体的な解き方を紹介しています。
売上原価の計算
以下の記事で具体的な解き方を紹介しています。
減価償却費の計算
以下の記事で具体的な解き方を紹介しています。
収益と費用の繰り延べ(前受、前払)
以下の記事で基本的な考え方を紹介しています。
収益と費用の見越し(未収、未払)
以下の記事で基本的な考え方を紹介しています。
収益と費用の繰り延べ、見越しの具体的な解き方
以下の記事で再振替仕訳が必要な理由と共に具体的な解き方を紹介しています。
過去問のすすめ
慣れるためにも過去問題集は必ず解きましょう。
過去問を解くときは、第5問なら第5問だけを一気に解きます。
そうすると大体パターンが分かりますし、自分がミスするポイントも分かります。
ミスしたポイントは紙に書き出しておくと、自分がよく間違える箇所が分かります。
私は第3問や5問の過去問でよく「約束手形」と「小切手」の仕訳を間違えました。
つい「現金」ではなく「受取手形」に仕訳してしまうのです。
簡単と思った時(さらっと仕訳した時)ほど間違えています。
そのため繰り返しとなりますが、過去問を解いたときに間違えた理由、自分が勘違いしやすい仕訳は紙に書き出しておくことをお勧めします。
試験当日に試験会場へ向かうときに眺められます。
私は以下のようなものを作っておきました。
一部ですが。汚い字で申し訳ありません。
ブログ公開用に作り直す気力はありませんでした。
おすすめ過去問集の理由
過去問題集はたくさん出ていますが、私が実際に利用しておすすめする過去問題集は以下の記事で紹介しています。
おすすめする理由は、出題範囲から外れた部分(正確には配慮するです)が同レベルの出題範囲内の問題に改編されているからです。
単純に昔の出題範囲のままの(つまりこれから受験する回には出題されない)過去問を解くよりも効率的です。
詳細は以下の記事を見てください。
出題範囲は再確認しましょう
何事も相手を知らなければなりません。
2019年度(第152回試験)から簿記3級は試験範囲が改定されます。
その辺りの事情については、以下の記事で紹介しています。
思い切って、試験範囲から除外される部分は勉強しないという方法もあります。
現在の実務でも、なかなか行わないものが多いですから。
前述の過去問題集は、この辺が考慮されていますのでおすすめです。
出題傾向の分析について
過去問の出題傾向から、次の試験ではこのパターンが出るというような推測は
しないほうがよいです。
仕事にしているプロでも間違えるのですから、リスクが高すぎます。
つまり、プロの推測についてもあまり当てにしないほうがよいです。
特に第1問、2問、4問は、大体数パターン作って来ますので、どれかは当たりますよ。
あくまでちなみにですが、出題傾向は以下の通りです。
精算表は、第140,143,145,147,150,153回で出題されています。
財務諸表は、第141,142,144,146,148,149,151,152, 154回で出題されています。
ほぼ均等に満遍なく出題されていますので、どちらでも解けるようにしましょう。
ちなみに第156回は、目新しいパターンとして、決算整理後の残高試算表が出題されました。
解き方は精算表や財務諸表と同じです。
落ち着いて対応すれば問題ありません。
第157回でも決算整理後の残高試算表が出題されました。
今後のネット試験でも決算整理後の残高試算表が出題されるかもしれませんね。
その他の注意事項
どれだけ事前に準備しても本番では信じられないような単純なミスをします。
第5問で言えば、まったく動かない勘定科目(資本金とか)を飛ばしてしまったりします。
私のことですが。
また、集計した際に貸借が一致しないことは結構あります。
心構えの話になってしまいますが、チェック時は貸借は一致しないという前提で行うことをおすすめします。
そうすることで、本当に一致しなくてもあせらずに済みます。
おそらくきちんと勉強した人ほど、仕訳に自信があり、楽勝だと思うことでしょう。
そんなときほどミスをしているものです。
そんな状態で貸借が一致しないと
急に周りの音が聞こえて来て、時間も気になりだし、いやな汗を掻くでしょう。
私のことですが。
しかし予め間違えることを前提にしていれば、「はい、はい。やっぱりね。」と
すぐに持ち直せます。
実際に私もすぐに思い出して、持ち直すことができました。
日商簿記3級は独学で取得できるのか?
もしもあなたが独学にするか、通信講座を利用するか迷っている場合は、以下の記事を見てみてください。
勉強方法や試験範囲の改定など役立つ情報も一緒に紹介しています。
終わりに
今後は第2問、第4問に出題されるものや今回の決算整理事項ついて個別に解法を
紹介できればと考えています。
それでは、また。
関連記事です。
第5問と同じ配点である第3問についての紹介です。
第2問もしくは第4問で出題される可能性のある伝票会計についてです。
日商簿記3級で使用する勘定科目を一覧に纏めました。
試験までの段取りと前日や当日の過ごし方、タイムスケジュールも紹介しています。
間違えやすい誤字脱字を紹介しています。
勉強の息抜きに体重に優しい飲み物はいかがでしょうか。
おやつもあります。
ローソンにはおいしい低糖質パンもあります。
最後にお口のお手入れも気持ちよく行いたいです。